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黄金都市シャンドラと “歴史の本文” 

黄金都市シャンドラとそこに運び込まれた “歴史の本文” を巡る、
様々な人々の思惑や裏で繰り広げられた暗闘、運命の悪戯といったものに対して
馳せた思索をまとめてみました。

ネタバレは含んでいないはずですが、現時点での最新話は第622話です。
コミックス派で万全を期したい方は、念のためご留意ください。
 
 
 ■ シャンドラと “突き上げる海流”
まず、作中における古代都市シャンドラと
“突き上げる海流 (ノックアップストリーム)” の関係について簡単におさらいしてみる。

“偉大なる航路” のジャヤという島に存在していた都市シャンドラは、
約400年前、“突き上げる海流” により10000mもの高空に打ち上げられ、
ちょうどその空域を漂流していた空島スカイピアの “巨大豆蔓” に引っかかる形で固定された。
以来、シャンドラとその周辺の大地は (原住民たちには甚だ不本意なことながら)
聖地 “神の島” として、空島スカイピアの一部となる。

そのシャンドラがまだ地上に在ったころ、
遭難の末ジャヤに漂着した探検家モンブラン・ノーランドが、
シャンドラの末裔たちが神と崇めていた大蛇 (カシ神) を斬った後、
その地を巨大な地震が襲っており、それをある住人が
「こりゃ…いつもより数段でかい!!!」 と評している。(第288話)
「いつもより」 という表現からは、
もともと地震が頻繁に起こる土地柄であったことが推し測られるが、
これが実際は、“突き上げる海流” の影響によるものであったこともまた想像にかたくない。
つまり、島の裏面に海底から海流が打ちつけられることで地盤が揺れていたというわけである。
モンブラン・クリケットの統計によれば、
ジャヤ近辺で “突き上げる海流” が発生することは月に5回とのことであるから、
爆発の場所が毎回違うとはいってもそれなりの頻度になるはずだ。
「いつもより数段でか」 く、森の一部の地盤を歪ませノーランドを地割れに呑み込んだそれさえ、
恐らくは後に来る最大の “突き上げる海流” の予兆に過ぎなかったのであろう。


 ■ ノーランドのジャヤ再訪と世界政府の思惑
ジャヤより無事に帰還したノーランドは、
旅の成果として黄金都市シャンドラの実在と所在を国王に報告した。
正直、聡明なうえにこのルブニール国王の性格をよく知っているはずのノーランドが、
バカ正直に黄金郷のことを明かすというのは理解しがたい
言えば連れて行けというに決まっているし、連れて行けば何をするかなどわかりきっている。
あらゆる形で親友たちに迷惑かけるに決まってる
まあそこは国家お抱えという立場もあったのだろうが、
国王が帯同を宣言した際も表情ひとつ変えず反駁もしないのはやはり解せない。
よほど迂闊だったか、プロだったかだろう。

さて、ルブニール王国は世界政府加盟国であったらしく、
ジャヤへの探査船を出す旨、世界政府に許可を取っている。
さすがに、単に探査船を出すのにいちいち許可がいるとは思われないため、
これは航行自体ではなく、安全な “偉大なる航路” 入りのための
マリージョア経由に対してのものと推測されるのだが、
これが承認されるのがなんと5年後のことなのである。

いったい何故、たかだか探検隊を通過させる承認を出すのに、5年もの年月が必要だったのか。
垣間見られるルブニール国王の性質上、
政府への申請はノーランドの報告を受けた直後におこなったであろうから、
ルブニール王国側の都合ではないだろう。
考えられるのはやはり、世界政府側の都合である。
申請の受理に不自然な時間がかかる理由としては、一般的に以下が挙げられる。
すなわち、机の隅に積まれたまま放置されていたか、
申請受理に対する賛否が激しく分かれ、長期に渡る議論が戦わされたか、
許可を出すわけにいかない理由があったかだ。

ここで私が採るのは、最後の 「許可を出すわけにいかない理由があった」 から、である。
そうなると当然、最終的に許可を出している以上、
その 「許可を出すわけにいかない理由」 は解決したということになる。
むろん、「これ以上 引き延ばすわけにはいかないと判断したから」 とすることもできるが、
世界政府の強権を鑑みるに、それはやや考えづらい。
ルブニール国王が少しばかりせっついたところでびくともしないだろう。
私はやはり 「解決した」 という予想を推す。

その論拠は以降の項で述べる。


 ■ “歴史の本文” を巡る多面的戦い
ロビンの解釈に拠ると、シャンドラは、
そこに運び込まれた “歴史の本文” を守るため、それを狙う存在と戦って滅びたという。
“歴史の本文” を狙って攻撃を仕掛ける存在。
それがいかなるものかはいまだ確定的ではないが、
考古学の権威・オハラのクローバーの研究に拠れば、
それはかつて 「ある強大な王国」 を滅ぼした者たち。
すなわち他ならぬ世界政府ということになる。
そう、“歴史の本文” に刻まれた事実を危険視する世界政府は、
シャンドラにその “歴史の本文” が存在することを知っていたのである。
これこそが、ルブニール王国探検隊にジャヤ行きの探査船の通行許可を出さなかった、
あるいは出せなかった理由ではないだろうか。
つまり世界政府は、ルブニール王国の公式探検によって、黄金都市シャンドラと、
それ以上にそこに存在する “歴史の本文” が明るみに出ることを恐れたのである。

しかしシャンドラは、“突き上げる海流” により、地上から消え去った。
まさしく 「No Land」 である。

世界政府とてよもや空島の一部となって存在し続けているとはそうそう考えないであろうから、
恐らくはノーランドと同様に地殻変動による海底への沈没と結論づけたと思われる。
しかしいずれにせよ、これによってシャンドラの “歴史の本文” が人目につくことは
永久になくなったと安堵して、ルブニール国王にマリージョアの通過許可を出したのである。

しかしここで、ひとつの疑問が浮上する。
シャンドラに “歴史の本文” が運び込まれていると知りながら、
何故 世界政府はそれを長きに渡って放置していたかという点だ。
都市そのものはすでに滅ぼし、廃墟と化していたとはいえ、
かつての黄金都市シャンドラと、なにより “歴史の本文” は、厳としてそこに存在していたのである。
またその地には、“歴史の本文” を守るために戦い抜いた代償か、
文明レベルを大幅に後退させていたとはいえ、シャンドラの末裔さえ現存しているのである。
発見されたくないのなら、どちらも早急に、そして完全に消してしまうべきであったはずだ。

一見すると呆れべき無為に映るが、実は、世界政府もそれなりに手は打っていたのだ。

第290話に、談笑するノーランドとカルガラのもとに、
ノーランドの配下の者たちが “永久指針” と、
ジャヤの島全域の地図を手に駆け込んでくるシーンがある。
どうやらもともとのシャンドラや村のものではなかったらしく、
それを見たカルガラは、「おれ達が侵入者から取り上げたものだろう」 としている。
双方とも同一の人物の持ちものであったかどうか、
また “永久指針” がどの島を指すものであったかまでは定かではない。
しかし、少なくとも地図のほうは、所有者が明確にジャヤへの上陸を目指していた証拠となりうる。
(ただし、「確証」 とまではいえない)

一方の “永久指針” は、
やはりどの島の磁気を記録したものかがわからなければなんとも判断のしようがないが、
それを持ってきた船員の興奮ぶりからしても、
彼らが帰路につくにあたっての指針として使えるものだったのではないかと推測することはできる。
さらに、第291話において提督ノーランドが 「マリージョアへ進路を取り」
そのうえで 「ルブニール王国に帰還する!!!」 と号令しているため、
マリージョアへと続くものであったとも考えられる。
なお、マリージョアは “赤い土の大陸” の上につくられた街であるため、
直接そこを指す “永久指針” は存在しえない可能性がある。
また、その直下にあるシャボンディ諸島も磁気を発しないため
“記録指針” に反応しないとすでに作中で明言されている。
ゆえに、指針自体はマリージョアの近隣、明かされている範囲では、
例えばマリンフォードを指すものだったかもしれない。

帰着用の “永久指針” を初めから所持していたのではないかと考えられなくもないが、
そのようなものがあれば、もとより嵐の中で寄る辺なく遭難などするまい。
黄金の鐘の音に救われ九死に一生を得るような事態になる前に、
そちらへ舵を取っていたはずである。
また、通常の “記録指針” で
いきなりジャヤからマリージョアへ針路を取るような無茶もしないはずだ。

以上のことから何が言えるかというと、
たびたびジャヤに上陸していた 「侵入者」 の中には、
実は海賊を装った海兵などもいたのではないかということだ。
持っていた “永久指針” がマリンフォードを指すものであったとすればなおさらである。
とすれば、シャンドラの消失を世界政府に報告したのも彼らであろう。
回想シーンの冒頭 (第281話) でカルガラに壊滅させられていた一団は
描写からして本当に海賊だったようだが、それとて政府に雇われていたり、
司法取引の対価としてシャンディア討伐を提示されていた可能性は残る。

なお、さすがに、空へ上がった後に訪れた者たちまでがそうであったとは主張しない。
シャンディアたちにノーランドの最期を伝えたという 「“北の海” の船乗り」 も、
どうやらその事実を公表することはしなかったようである。
絵本 『うそつきノーランド』 が嘘を戒める教訓書として扱われていること、
モンブラン一族が蔑まれ肩身狭く暮らしていることなどからするに、
そのことによるノーランドの名誉回復もなされなかったらしい。
(もっとも、その船乗りたちが
 空島から祖国、あるいは青海に帰り着けずに遭難・全滅した可能性はある)

話を戻す。
つまり世界政府としては、表には黄金都市シャンドラの存在を否定・隠蔽して幻想へと追いやり、
裏にはしばしばジャヤに刺客を送り、
シャンディアの殲滅なり “歴史の本文” の隠匿なりを目論んでいたと推測されるのである。
それが、前者はおおむね成功をみたものの、
後者はカルガラをはじめとした “シャンドラの戦士” の屈強さの前に
なかなか成功しなかったという話だ。
一方の 「侵入者はすべからく撃滅すべき」 というシャンディアたちの戒律も、
こういった事態に備えてのものであったと考えられる。

ちなみに、現在では 「町の書物の類は全て燃やされていた」 というから、
「ただ紙や本に書き残しても」 「そのメッセージは根絶やしにされると考えた」
「ある王国」 の民の危惧とクローバーの読みは、幸か不幸か見事に的中し、
後世へのメッセージを硬石に刻んだことが奏効したわけだが、
この焚書がおこなわれたのは恐らく800年前の戦いの際のことと思われる。
どうも第281話から始まる回想シーンを見る限り、
シャンドラ滅亡から高空へ打ち上げられるまでの400年間は、
討伐隊が都市遺跡にまで達した気配が見られない。

また、さらに推測の色が濃くなるが、絵本 『うそつきノーランド』 の発刊も、
政府のシャンドラ隠匿工作の一環だったのかもしれない。
というのも、絵本の本文にはっきりと 「400年も昔のお話」 と書かれている。
ストレートにこれを受け取れば、絵本が書かれた際に概算で最もキリのいい年数表示が、
実際にこの故事があった 「400年前」 そのままであったということになる。
(絵本が世に出たのが例えば100年前なら、本文は 「300年も昔のお話」 となるはずだ)
第2版、3版と改訂されるたびに修正されてきたというのも不自然だ。
そのようなことをする理由がない。
すなわち、絵本の発刊はせいぜいここ数十年のことであると考えられるのである。

年長でも20代半ばあたりと思われるベラミー海賊団の船員たちが子どものころには、
“北の海” に知らぬ者がいないほどに浸透しきっていたことからして、
だいたい30~50年前くらいの発刊とあたりをつけられるだろうか。
では何故、ノーランドの処刑から400年ものち、
今さらのようにその逸話が書物にまとめられたのか。
もちろん、そこに教訓性や金のニオイを嗅ぎつけた作家が、
口伝でのみ語られていたような古い逸話を掘り起こすことはいくらでもあるだろう。
しかし、私はここに世界政府の意志が働いていたと考える。
ノーランドを徹底的に 「嘘つき」 に仕立てあげることにより、
黄金郷の存在自体も彼の虚言の中の産物であると、世界に思い込ませたというわけだ。


こうして、世界の中枢がありとあらゆる手を尽くして
秘匿と破壊に尽力してきた黄金都市シャンドラであるが、
ご存知のとおり、都市の滅亡から800年の時を経てこの地に至ったある男により、
あるいは単純に公表されるよりもずっと世界政府にとって怖れるべき
「最果てへ導く」 という処置を受けることとなる。


今回、私が述べたかった論説は以上である。
次項には、この論を立てるにあたり、合理性に欠けるとして廃棄した予想を再構築して載せる。
要は余談であり蛇足であるので、それでもお暇と興味のある方はそのことを念頭に置き、
よりいっそう肩の力を抜いて読んでいただきたい。


 ■ “突き上げる海流” の真の正体
私は当初、世界政府がシャンドラを秘密裏に処分するために用いている手段として、
この “突き上げる海流” を考えていた。
つまり、“突き上げる海流” は自然災害などではなく、
人為的なものなのではないかという推測だ。
“突き上げる海流” の原理が 「そこまで突っ込んで調べようってバカはいねェ 」 ため、
「予測の域を越えない」 というのも、
世界政府がその研究を (“空白の100年” ほど露骨ではないにせよ)、
それとなく掣肘していたのではないかというわけだ。

ルブニール王国からのジャヤ探査船のマリージョア通過要請があってから
それが受理されるまでに要した5年もの年月というのもひとえに、
ジャヤを破壊しうるほどの出力を
“突き上げる海流” にもたせるために必要な準備期間だったのではなかったか。
そうして、5年間に渡ってエネルギーを充填して(?)起動した
“フルチャージノックアップストリーム” により無事にジャヤ壊滅が成功したため、
ようやく許可を出した…と、そう考えていたのである。

日ごろよりジャヤ近海で空撃ちしていたのは、
“突き上げる海流” をあくまで 「自然災害」 と一般に認識させ、
いずれ機が来るフルチャージ起動をカムフラージュするためだ。 きっと。
爆発の頻度が月にキリよく5回であったというのも、事務的機械的な設定を感じさせる。 きっと。

と、こうしてひとたび疑ってかかると、クリケットが
「雄大な自然現象を言葉や理屈で言い表すなど愚かな事だ」
“突き上げる海流” の説明を、なかば強引な形で打ち切ってしまうのも、
「まだ伏せてある設定が残ってるけど、この場ではここまでしか明かさないよ」
という作者尾田栄一郎の意図が働いているかのように感じられてしまう。
(必要なことはひととおり教えてくれているため、受ける印象ほど実際は強引ではないのだが)

“突き上げる海流” とは、最大出力で起動すれば、
都市どころか、島の3分の2ほどの大地を破壊せしめるほどの兵器。
そして、“突き上げる海流” が起こる海域を擁するシャンドラには、
それに相応しいもののありかを示す “歴史の本文” が設置されていた…
そう、
すなわち “突き上げる海流” こそが古代兵器ポセイドンの正体ではないかと考えたのである。

この仮説を閃いたときには興奮のあまり躍りあがったものだが、
よくよく考えてみたら、そんなものがあるなら
無人にしたマリンフォードに誘い出して撃ち込めば
わざわざ大戦争を繰り広げるまでもなく白ひげ海賊団を撃滅させられた…というか、
そもそもその拠点に撃ち込めば、いかな大海賊団であっても容易に壊滅せしめられること、
仮にジャヤ近辺でしか運用できないとしたら使いづらい…というか
もはやたいして役に立たない無用の長物でさえあること、
400年も手をこまねいていないでさっさと5年間チャージしてシャンドラを葬ればよかったことなど、
あまりに豊富な脆弱性の数々により、泣く泣く没にしたものである。

個人的には、こちらの予想のほうが本文で述べたものより気に入っていたのだが、
いかに横着な私といえど、自分自身でここまで論破してしまった仮説を、
「気に入っている」 という理由で堂々と掲げるわけにはいかなかったのである。

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